◆発表のポイント
- 脳梗塞モデルマウスにホヤ由来プラズマローゲンを脳梗塞前より投与すると脳梗塞後の体重減少を抑制し、脳梗塞体積を減少させる効果があることがわかりました。
- ホヤ由来プラズマローゲンの前投与は脳梗塞時の血中酸化ストレス値を減少させ、DNAや脂質の過酸化を抑制していました。
- 抗酸化作用を持つプラズマローゲンを日常的に摂取することで脳梗塞発症時の重篤化を予防する効果が期待できます。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の山下徹准教授、森原隆太講師、福井裕介助教、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院の阿部康二病院長の研究グループは、ホヤ由来プラズマローゲンを事前に投与していたマウスが脳梗塞を発症すると、非投与群に比べ脳梗塞体積が減少することを明らかにしました。脳梗塞は死因および要介護の大きな要因であり、超高齢化社会を迎えた本邦では重要な社会問題の一つです。脳梗塞の治療は、血栓溶解療法や血栓回収療法といった再開通療法の発達により治療成績が向上したものの、患者の半数以上が適用外であり、多くは血流不全のまま脳が傷害されてしまいます。本研究では、ホヤ由来プラズマローゲンの継続的な摂取が血中および脳内の酸化ストレスを軽減し、脳梗塞によるダメージを緩和する可能性を示しました。
これらの研究成果は2021年4月4日、日本脳サプリメント学会誌「Brain Supplement」のResearch Articleとして掲載されました。
◆研究者からのひとこと
脳梗塞の治療や予防に関する研究を行っています。脳梗塞は健康寿命に大きく影響する疾患です。少しでも患者さんの治療につながるように研究を進めていきたいと思います。 | ![]() 福井助教 |
■論文情報
論 文 名:Antioxidative and neuroprotective effects of ascidiacea-derived plasmalogen in a mouse stroke model
掲 載 紙:Brain Supplement
著 者:Yusuke Fukui, Tian Feng, Koh Tadokoro, Yoshio Omote, Mami Takemoto, Ryuta Morihara, Toru Yamashita, Koji Abe.
U R L:https://6b95d072-44e5-4cb6-b67e-26198abec2ca.filesusr.com/ugd/
<詳しい研究内容について>
ホヤ由来プラズマローゲンは脳梗塞による傷害から神経細胞を保護する
<お問い合わせ>
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
准教授 山下徹
(電話番号)086-235-7365
(FAX) 086-235-7368
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
講師 森原隆太
(電話番号)086-235-7365
(FAX) 086-235-7368
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
助教 福井裕介
(電話番号)086-235-7365
(FAX) 086-235-7368