国立大学法人 岡山大学

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新型コロナ後遺症の症状に見られる立ちくらみ症状の特徴を調査

2024年08月20日

◆発表のポイント

  • 新型コロナ後遺症では、立ちくらみやめまいなどの自律神経に関連する症状が見られます。
  • 起立試験を実施した新型コロナ後遺症患者のうち約4割が陽性で、脈拍の増加や拡張期血圧の上昇を認めました。
  • 起立試験が陽性の後遺症患者の約半数は20歳未満の若者で、内分泌系に変化が見られました。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の加藤篤之大学院生と、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループは、岡山大学病院のコロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診した患者に見られる「起立性調節障害」の有無とその特徴について研究を行いました。
 起立性調節障害は、自律神経の異常によって血圧や心拍数の調節がうまく行われず、立ちくらみやめまい、動悸、失神などの症状が生じます。新型コロナ後遺症の患者さんも、このような起立性調節障害の症状が見られることがありますが、その特徴は十分に知られていません。今回の研究では、コロナ後遺症で受診した患者さんのうち、立ちくらみ症状を訴えた患者さんに対して起立試験を行いました。その結果38%の患者で陽性となり、そのうち約半数(48.5%)が20歳未満の若年者でした。
 起立試験陽性の患者さんの症状には、吐き気や動悸が多く、起立したときの頻脈と、起立直後の拡張期血圧の上昇が特徴的でした。さらに、若年の患者さんでは、脳下垂体から分泌される血中の成長ホルモンが低いことも分かりました。この研究結果は、2024年7月24日、国際学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。

◆研究者からひとこと

コロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師がチームで担当しています。患者さんの症状にあわせて一人一人に向き合った診療を心がけることで、起立性調節障害へのフォーカスができたと考えております。今後も、苦しんでいる患者さんに還元できる研究を行ってまいります!
加藤篤之 大学院生
新型コロナウイルス感染症は、5類に移行して1年以上を経ても、増減を繰り返しながら続いています。ウイルス感染時の発熱や咽頭痛など急性期の症状だけでなく、後遺症では倦怠感をはじめとしてさまざまな症状が認められます。コロナ後遺症の原因究明と、その治療方針に関する研究を行い、発信していきたいと考えています。
大塚文男 教授

■論文情報
論 文 名:Clinical and endocrine features of orthostatic intolerance detected in patients with long COVID.
掲 載 紙:Scientific Reports
著  者:Atsushi Kato, Kazuki Tokumasu, Koichiro Yamamoto, Yuki Otsuka, Yasuhiro Nakano, Hiroyuki Honda, Naruhiko Sunada, Yasue Sakurada, Yui Matsuda, Toru Hasegawa, Ryosuke Takase, Keigo Ueda & Fumio Otsuka
D O I:10.1038/s41598-024-67815-y
U R L:https://doi.org/10.1038/s41598-024-67815-y

<詳しい研究内容について>
新型コロナ後遺症の症状に見られる立ちくらみ症状の特徴を調査


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学
教授 大塚 文男
(電話番号)086-235-7342  (FAX)086-235-7345

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