本学は3月31日、岡山コンベンションセンターにおいて「岡山大学カーボンニュートラル拠点事業勉強会」を開催しました。自治体や企業関係者、学術機関などから約80人が参加し、対面形式で活発な議論が交わされました。
勉強会は、本学が推進するカーボンニュートラル拠点形成事業の一環として開催したもので、地域の特性を生かしながら周辺地域との連携を図り、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向けた具体的なソリューションを模索することを目的としています。
開会にあたり、学術研究院環境生命自然科学学域の小野努教授が登壇し、「カーボンニュートラルに向けた取り組みは産業界・学術界・地域社会において加速しており、連携を通じて実装段階へと移行しつつある。岡山や瀬戸内地域は、森林・海洋資源と大型化学コンビナートを有しており、地域における炭素循環モデルを考えるうえで格好の場」と述べ、勉強会の趣旨を説明しました。
続いて行われた講演では、成蹊大学理工学部の里川重夫教授が「カーボンニュートラルな合成燃料の製造方法と最近の動向」と題し、合成燃料の必要性や製造プロセス、国内外の事業計画などを紹介しました。その中で、日本においては再生可能エネルギーを用いた水素の製造コストが課題となっていることから、地域レベルでの電力グリッド整備の重要性を強調しました。
次に、学術研究院教育学域の佐野亘助教が「ブルーカーボン~海草による炭素固定の原理~」と題して講演し、ブルーカーボン(海洋資源)と呼ばれる海草などによる炭素固定の仕組みや、近年の研究事例を紹介しました。日本は海岸線の長さが世界でも上位に位置することから、ブルーカーボンのポテンシャルが高い一方で、研究開発はまだ発展途上にあると話しました。
最後に行われた全体討論では、「岡山・瀬戸内地域における炭素循環モデル」をテーマに、登壇者と参加者が意見を交わし、地域が持つグリーンカーボン(森林資源)とブルーカーボンを活用した持続可能な炭素循環の可能性について議論を深めました。
本学では今後も、地域の特性に応じた持続可能なエネルギー・物質循環の実現と地方創生に向けて、カーボンニュートラルの推進拠点づくりに取り組んでいきます。
【本件問い合わせ先】
学術研究院環境生命自然科学学域 教授 小野 努
E-Mail:tono◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
Tel:086-251-8083
地域資源を活用したカーボンニュートラルの実現に向けカーボンニュートラル拠点事業勉強会を開催
2025年04月08日