本学は、優れた業績を挙げた若手研究者を顕彰する「岡山大学若手トップリサーチャー研究奨励賞」の2024年度文系受賞者に、文明動態学研究所のライアン・ジョセフ准教授(特任)、理系受賞者に学術研究院環境生命自然科学学域(工)の鈴木弘朗研究准教授を選出し、3月27日に学長室で表彰式を行いました。
表彰式では、那須保友学長が表彰状と記念品を受賞者に手渡し、窪木拓男副理事(研究基盤担当)、宇根山絵美学術研究推進本部長とともに和やかに懇談しました。那須学長は「お二人の研究は素晴らしいものがあります。本学は研究大学として今後、研究とその国際展開を考えており、我が国の研究力の強化や社会に役立つことを期待しています。今日の賞は通過点にすぎず、さらなる研究を進めていただきたい。また、研究者として大事な指導やコミュニティのリードも期待しています」と激励しました。
同賞は国際的に活躍できる若手研究者の育成を図るため、平成19年度に創設。研究成果や競争的研究費の獲得状況、将来性などを評価基準に、学内で慎重に審査し、受賞者を決定しています。
ライアン准教授(特任)は考古学が専門で、鉄製武器など鉄器文化に関する研究等を進めるとともに、先端的な理化学的分析手法を積極的に取り入れ、国際的な研究を展開しています。考古学は岡山大学の最重点研究分野のひとつであり、本学が重点的に支援する国際研究拠点形成事業(RECTORプログラム)の拠点でもあります。拠点の活動の一環として、イタリア・トリノ大学などの研究者と進めている、X線CTと中性子ビームによる金属器の分析は、すでに大きな成果を挙げつつあり、今後導入予定のマイクロフォーカスX線CTにより、今後のさらなる発展が期待されています。また、鉄鉱石に関する調査研究も日本における鉄生産の開始に関する知見を刷新する可能性をもつ重要な研究であり、成果および展開が期待されています。2023年10月から始まった「新知創造学際ハブ」事業においても本学の代表的研究者として東北大学や他機関の研究者と密接に交流し、事業の推進に大きく貢献していることや母語である英語はもとより日本語の運用能力も非常に高く、国際的な研究を言語的ハードルなく推進できるという点も高く評価されました。
鈴木研究准教授は、半導体・ナノカーボン・二次元材料・フレキシブルデバイス・結晶工学・結晶欠陥が専門で、特に先端半導体材料として期待される物質である二次元半導体など、今後も注目され発展が期待できる分野において、先端的な研究を進めています。革新材料分野は、本学の最重点分野であり、今後の大きな貢献が期待されています。鈴木研究准教授は、プラズマ科学や低次元物質の物性、ナノ材料のデバイス応用等、幅広いバックグラウンドを持ち、多角的なアプローチから研究を立案し、自身でナノ材料の実験装置をデザイン・作製するなど、独自のアプローチにより新しい研究テーマにチャレンジしてきました。また、第一著者かつ責任著者として多くの国際論文を執筆しており、近年、複数のQ1ジャーナル雑誌(ACS Nano, Nano Letters, Small Methods)に第一著者・責任著者として執筆しています。これらの実績から、論文および競争的資金ともに優れた研究業績を有する若手研究者に付与する研究准教授の称号が付与されています。2023年3月には本学のSAKUプログラムの支援を得て、米国のカリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学ならびにライス大学の研究室を訪問するなど、国際共同研究の基盤構築を進めており、今後も幅広い国際共同研究への展開が期待されています。また、科研費や企業との共同研究費も着実に獲得し、当該分野の共同研究件数も増加している点も高く評価されました。
【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創管理統括部研究協力課
TEL:086-251-7118
2024年度若手トップリサーチャー研究奨励賞にライアン准教授(特任)、鈴木研究准教授を選出
2025年04月07日