国立大学法人 岡山大学

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松本和幸講師、三瀬広記助教、石野貴雅助教、松本尚美助教に岡山大学「研究准教授」の称号を付与

2025年04月03日

 本学では、松本和幸講師、三瀬広記助教、石野貴雅助教、松本尚美助教に対し、「研究准教授」の称号を付与しました。2月27日に称号付与式を開催し、那須保友学長から認定証が手渡され、受賞者の各研究内容について紹介がありました。
 松本和幸研究准教授は、消化器系の臓器である膵臓で発生するがんについて研究しています。現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「令和5年度革新的がん医療実用化研究事業」において、「膵神経内分泌腫瘍に対する治癒率向上と膵機能温存を目指した内視鏡的低侵襲治療法の開発」に取り組んでおり、患者さんの負担を軽減しつつ、高い治療効果を実現することを目指しています。膵臓は、インスリンなどのホルモン分泌や消化酵素の分泌など重要な機能を有しており、がん治療で摘出することで糖尿病や消化障害を引き起こす可能性があります。本研究で開発する内視鏡を用いた低侵襲治療は、外科手術と比較して体への負担が少なく、膵臓機能を温存できるという大きなメリットがあります。
 三瀬研究准教授は、世界的な課題である腎臓病の中でも特に大きな負担となっている糖尿病関連腎臓病(DKD)について研究をしています。2024年3月には、DKDの症状が悪化する新たなメカニズムを発見し、Nature Communications誌に掲載されました。この発見により、ミトコンドリアの「呼吸鎖複合体 I 」とそのサブユニット「NDUFS4」が、DKDの新たな治療ターゲットとなる可能性が示唆されました。将来的には、この発見を基にした新たな薬剤開発につなげ、DKDが原因で腎不全や透析が必要となる患者さんを減らすことを目指しています。これにより、患者さんの生活の質を向上させるとともに、国の医療費削減にも貢献できると考えています。
 石野研究准教授は、免疫の力を利用してがんを攻撃する「がん免疫療法」の研究に取り組んでいます。がん免疫療法のひとつである「免疫チェックポイント阻害剤」は、これまでの治療法が奏功しなかった患者さんにも高い効果を発揮する画期的な治療法ですが、奏効率は必ずしも高くありません。石野研究准教授は、がん細胞と免疫系の双方を解析することで、より効果的ながん免疫療法の確立を目指しており、「免疫チェックポイント阻害剤」の有効性を評価するためにはがん細胞の質的な評価が重要であることを提唱しました。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「令和6年度革新的がん医療実用化研究事業」において、「異常ミトコンドリアに基づく慢性炎症発がん機構の解明と予防への応用」も進めています。
 松本尚美研究准教授は、人の生涯(胎児期から成人期)におけるさまざまな因子が健康や疾患リスクに与える影響を研究する「ライフコース疫学」を専門としており、ビッグデータやリアルワールドデータを用いて、成育環境が小児の健康に及ぼす影響などをテーマに研究をしています。これまで、コロナ禍が子どもたちの精神に与えた影響や、コロナ禍で新しく喘息と診断される子どもの数が減少したことを学術論文で発表しています。これらの成果は公衆衛生施策や医療サービスの質の向上に寄与しており、今後もライフコース疫学の視点に基づいた研究を継続し、子どもたちの健やかな成長と社会全体の健康増進に貢献していきます。

〇研究准教授制度について
 本学では、研究力強化促進と若手研究者育成などの観点から、優れた研究業績を有する研究者の全学を挙げた支援を実施しています。その支援のひとつとして、「准教授」が独立した研究代表者(PI:Principal Investigator)として活躍することを促進するため、「研究教授」の称号と研究費配分や研究活動の充実などのインセンティブを付与する「研究教授」制度を2018年度から実施しています。また、2020年4月からは、講師と助教を対象とした「研究准教授」制度を実施しています。

これまでに称号を付与された方の一覧はこちら


【本件お問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)室
TEL:086-251-8405

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