本学が運営委員を務める研究大学コンソーシアム(RUC)は、著名な農学者であり、本学の元研究担当理事・副学長で名誉教授の故・山本進一博士の業績を記念した「山本進一記念賞(YAMAMOTO Shinichi Memorial Prize)」を創設しました。
山本博士は、本学のリサーチ・アドミニストレーター(URA)体制を整備し、研究大学としての運営基盤を構築。さらには、わが国の大学・研究機関等における研究開発マネジメント組織・人材の育成強化や地位向上に、先駆的に務めました。また、RUC全体会議の初代議長として、さらには一般社団法人リサーチ・アドミニストレータースキル認定機構の初代機構長として、文部科学省など中央官庁との対話を通じて、URA制度の確立、URAや研究者の大学・研究機関等での雇用と地位向上にむけたさまざまな施策に強いリーダーシップを発揮した実績があり、わが国の研究開発マネジメント人材、そして組織を形作った功労者の一人です。
賞の創設にあたっては、山本博士が理事・副学長を務めた本学と名古屋大学、豊橋技術科学大学からRUCに提案がなされ、わが国の大学・研究機関等における研究開発マネジメントに関する好事例と、URAや技術職員、研究者、事務職員などのチームを表彰する表彰制度について検討の結果「山本進一記念賞」の創設が決定しました。
9月18日に開催された第1回表彰委員会では、本学の佐藤法仁副理事(研究・産学共創総括担当)・副学長(学事担当)・上級URAが同委員会の委員長に指名されました。佐藤副理事・副学長・上級URAは、山本博士が本学の研究担当理事・副学長在任中に初代URAとして着任した際に、山本博士から直接、大学における研究開発マネジメントなどの指導を受けた一人です。企業からの転職者や教員の兼務ではなく、URA職としてわが国で初めて副理事・副学長・全学機構長等の任に就き、それも総務・企画・評価や経営力強化(財務)、学事などの研究部門以外も含めた法人全体の運営をURAとして担ってきました。今回の委員長の就任について佐藤副理事・副学長・上級URAは「私の人生を大きく変えた方のひとりに山本先生がおられます。先生は、理事・副学長としてご多忙な中、研究部門に限らず大学法人全体のマネジメントのノウハウを直接、かつ親身にご指導いただきました。さらには山本先生が本学を離れた後も、大学を経営するURAとなった私をいつも気にかけ、的確なアドバイスや温かい励ましなどをいただきました。今回の委員長就任は大変光栄なことであり、またこれまでご指導のご恩を返すものであると考えています。本表彰制度を通じて、大学・研究機関等における研究開発マネジメントに関わる方々のモチベーションを上げ、かつ好事例等を横展開することで、山本先生が目指していたものを実現すること、ひいてはわが国の研究力・イノベーション創出強化等に貢献していきます。皆さんとともに山本進一記念賞を盛り上げていきたいと思います」とコメントしました。
本学は、山本博士が築き上げてきた研究マネジメント体制を改善強化し、またそれを大学法人全体に波及させる取り組み、変化を続けています。昨年12月22日に採択された文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)でも、山本博士の遺志を受け継ぎ、わが国の先駆的な取り組みを戦略的に進めています。また、研究大学のひとつとして、「岡山大学のみ」という狭い視点、思考ではなく、「わが国の研究大学群」という点から、「共にできることは共に」という姿勢のもと活動を進めています。山本進一記念賞も本学のみではなく、研究大学群の集まりであるRUCで実施するものです。皆さんとともに本賞からわが国の研究開発マネジメント人材等を盛り上げていきます。
なお本表彰制度は、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)の取り組みのひとつとしても実施します。
〇那須保友学長のコメント
今回の山本進一記念賞の創設はとても嬉しく思います。私も大学院研究科長、副病院長、副理事、理事・副学長とそれぞれの場面において山本先生の手厚いご指導を受けました。また山本先生がお亡くなりになった後に、引き継いでいる役職等もあり、本賞も含めて山本先生の遺志をしっかりと次につなげていきたいと思います。
12年前、本学がURA制度を始動した際、「支援(サポート)人材」ではなく「高度マネジメント人材」とURAを定義し、少人数で研究担当理事・副学長と行動をともにする執行部のブレーン組織と位置づけました。当時は学内や文部科学省も含めて、なかなかこの点をご理解いただけないこともあったのは事実です。ただ現在、URAを支援(サポート)人材とする考える人は少なく、わが国の「第6期科学技術・イノベーション基本計画」においてもURAはマネジメント人材とされ、支援(サポート)人材の文字は消えています。これらの点は山本先生の制度設計とその後の地道な活動の成果等とも言えます。また現在、私が学長(法人の長)として大学法人経営のかじ取りをしている中でも、山本先生のノウハウが生かされています。創設された山本進一記念賞が、現在、そして次世代の研究開発マネジメント人材を活性化させるひとつとなること、さらにはわが国の科学技術・イノベーションを盛り上げていく原動力のひとつとなるように、研究大学コンソーシアムとともにしっかりとサポートしていきたいと思います。
<参考>
・「山本進一記念賞」の公募について(研究大学コンソーシアム)
【本件問い合わせ先】
岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議
(担当窓口:研究・イノベーション共創管理統括部 研究協力課)
TEL:086-251-7115
E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています
「山本進一記念賞」を創設―大学・研究機関等の研究開発マネジメントに関する好事例・チームを表彰―
2024年10月07日